2018年9月24日夕刻、115期生の関浩哉は浜名湖・ヤングダービーの表彰ステージに立っていた。『初VがG1レース』というのは史上二人目の快挙だったが、「自分なんかでいいんでしょうか…」と口ごもった優勝インタビューが印象的だった。
しかし、「いろいろな人の支えがあって選手になれた。自分だけの力では絶対にここまで来られなかったと思います」という感謝のことばを忘れてはならない。
祖父が勧めてくれたボートレーサーの道。養成時代は「自分に適正がないのでは…」と悩み、退所の可能性さえあったという。それでも何とか踏みとどまりプロデビューすると、先輩らの薫陶を受け一歩一歩成長することになる。人生をかけて打ち込むにふさわしい仕事だと実感するようになったのだ。つまり、やれば可能性が広がるが、やらなければ落ち込む。その姿にファンが投票で応じてくれる仕事…。「あらゆる面で妥協しない」と覚悟を決めてから関浩哉の世界が変わった。『初優勝がG1レース』というのは決して偶然ではないのだ。
ヤングダービー優勝後、「新しいターンを追求している」と内心を語ったが、これは夢物語ではない。「毒島さんや峰さん、桐生さんがターンを完成させたと思ってしまえば、それ以上の進化はありません。先輩がやっていないことをしてみたい…」と真顔で話す。
その方法論として、練習ではテーマを明確に設定。設定外のことは気にしないようにして、いろいろなパターンを試しているという。数々の試みから新時代のターンが誕生するかもしれない。
ヤングダービーチャンプという称号は、『時代の先端を拓く者』という意味を含むが、関浩哉はまさにふさわしい。