YOUNG RACERS

TOP ROOKIE 2022トップルーキー 2022

トップルーキーとは?

sho kuriki 4928栗城 匠

感謝の気持ちを込めて一走一走
全力で走らせていただきます。

Information 2022年1月現在

  • 生年月日:1995/5/26
  • 支部:東京
  • 出身地:東京都
  • 身長:166cm
  • 体重:52kg
  • 登録期:118
  • 級別:A1
  • 血液型:A

トップルーキー2022 4928 栗城匠

2016年5月8日多摩川ボートデビュー七転び八起きの努力家は実在した!

2021年5月20日、普段感情を表さない若者が涙した。
「全然眠れなくてどれだけ自分は勝ちたいんだと思いました。プレッシャーで心が折れそうだった」。
そう語り涙したのは2021年5月20日、平和島67周年記念競走の優勝後。
ぎりぎりの緊張感の中、それを知って優しくしてくれた先輩たちへの思いからであった。
デビュー5年でG1ウイナーになった関東の雄だが、その道のりは険しかった。
中学3年から挑戦した養成所試験は7度も苦杯を味わっている。合格は八度目。まさに七転び八起きである。
トップルーキーに選ばれたのは、2021年に次いで2年連続。
自分を極限まで追い込むことで知る境地。それは、周囲への感謝とレースで恩返ししたいという心境だ。だからこそ、勝負に妥協がない。
必ずや、関東の、ボートレース界の星となる逸材である。


栗城 匠 選手
×
BOATBoy編集長
黒須田守
ロングインタビュー
前編

すべてはグランプリへの過程

――まずはレーサーを志したきっかけを教えてください。
栗城 母親から「お金持ちになれる仕事がある」って紹介されたんです。ボートレースって小柄な体格が有利じゃないですか。募集要項を見たときに自分にぴったりだと思って、だったら稼げるなって。

――それまでボートレースという競技を知ってました?
栗城 知らなかったです。(ボートレーサー養成所に行く前に)1回だけ見ました。試験に何回か落ちていくなかで1回だけですね。
――何回か落ちた?
栗城 8回受けました。
――その間に1回だけしか見なかった?
栗城 そうです。自分、アマチュアボートレースをしてたんです。試験を受け始めて、高校2年生くらいからですね。
――ボート経験があったんですね。
栗城 複数旋回はしたことがなかったですけどね。試験に受かるために行っていたんですよ。ボートレースが好きとかじゃなくて、自分の人生のためにやってました。試験に受からないと何も始まらないんで。

――受験勉強のようなものだった。
栗城 そうですそうです。
――8回も落ちてしまって、諦めの心境にはならなかった?
栗城 なかったですね。面接試験までは3回行ったんですけど、それで受からなかったら自分の人格を根本的に変えなきゃいけないじゃないですか。だから最後の8回目で受からなかったら、自衛隊に1年か2年入ってから、それをネタにして次の面接で「ここまでしてでもやりたいんです」って伝えようと思ってました。でも受かったので、それをやらなくてすみました(笑)。
――そこまでしてボートレーサーになりたかったんですね。
栗城 ボートレースに出会うまでは、僕は目標を持ったことがなかったんです。だからみんなにも「ボートレーサーになってお金持ちになる」って言っちゃってたんです。逃げるわけにはいかなかったんですよ。ダメだったら、ただの口だけのヤツじゃないですか。だから、やめられなかった。これだけしかないって思ってましたね。

――だったら合格したときは嬉しかった。
栗城 …………6年くらい前だから、そのときの心境を思い出すのが大変ですけど、嬉しかったんだと思います。
――達成感だったり、やっと受かったって思いだったりがあると思うんですけど。
栗城 ……持ってたとは思いますよ。
――思います?(笑)
栗城 (昨年、平和島で)記念を獲ったときの緊張感、喜びのほうが大きかったので、昔のことは忘れてる感じなんです。

――なるほど。やっと入れた養成所、厳しかったでしょ?
栗城 それでもやっぱり辞めるわけにはいかないじゃないですか。だから自分から辞めるってのはなかったですね。ただ、優秀なほうではなかったんで。私生活的に。
――私生活的に?
栗城 それまで団体行動をしたことなかったんで、人に合わせることとか苦手でした。浮いたことをしちゃうというか。それは教官からしたら目につくじゃないですか。やっぱりそういう人から切り落としていくと思うので、なんとかしないといけないなというのはありましたね。訓練にも参加させてもらえずに立たされることがあるんですよ。それが続くとメンタルがきついんですけど、自分は教官のところに行って「訓練させてくれ」とアピールしましたね。見えるところで掃除をしたりして、やる気はあるんだぞって。
――それは根性があるなあ。教官に対しては絶対、というところがあるでしょ、養成所では。
栗城 人生が懸かってましたからね。単に命令に従ってる場合じゃないだろ、と。人生が懸かってたらそう思わないですか?
――そうだとしても、根性がありますよ。ちなみに養成所時代に仲が良かった同期は?
栗城 二宮博貴、川島拓郎、板橋侑我、中村聡志ですかね。
――おっ、板橋さんは養成所チャンプになりましたね。刺激を受けた?
栗城 どっちかというと他人のことは気にせず、自分は自分という感じですけどね。まあ刺激にはなっています。

――デビュー戦のことは覚えてますか?
栗城 すごく緊張しました。
――6着でした。
栗城 すげえレベルが高いなと思ったと思います。すごい緊張感のなかでやってるんだなって。自分も緊張してたからそう思ったんだろうと思います。「俺。ぜんぜんレースも参加してないな」って思って、一歩一歩自分ができる最大のことをやっていこうと思ったんじゃないかと思います。

――初勝利は次節の平和島でした。
栗城 ………………どうだろ、わからないです。めちゃくちゃ嬉しいと思ってたと思います。
――思ってたと思います、が多い(笑)。
栗城 そんなに昔のことは忘れちゃうんです。
――そうなの? 記念すべき初勝利ですよ。
栗城 レースで感じたことは覚えてます。風とか……展示では弱かったのに本番では急に強くなったとか。そういうのは覚えてるけど、気持ちは思い出せないんですよね。
――初勝利を特別なことと感じてなかった?
栗城 やっぱりグランプリを獲るまでは、全部過程じゃないですか。使命感に駆られてるんですよ、ずっと。僕はボートレーサーになるって決めて、大金持ちになるために生きてきたじゃないですか。ボートレーサーになってみたら、いちばんすごいところはグランプリ。それを獲ったら、自分が言ってきたこと……「俺はビッグになる」とか言ってきたんですけど、それを達成できますよね。それを達成するまでは、達成感を感じられないというか……GⅠを獲ったときも、もちろん嬉しかったですけど、GⅠを獲らないとSGには行けないから、やっぱり過程なんですよね。SGを獲ったとしても、それは嬉しいと思うんですけど、グランプリへの道のりとして、すべて過程なんです。

――それは凄い! で、デビュー5期目でA2級に昇級しましたが、A2級時代が長かったという印象です。
栗城 実力不足だなと。すべての面で実力不足。
――焦りはありました?
栗城 それはそんなにないですね。自分ができると思ってるすべてのことはやってるはずなのに、それでA1級になれないのはただの実力不足。だから、努力するしかないって考えに切り替わってました。
――その努力の成果でA1級に昇級し、トップルーキーに選ばれました。
栗城 それは期待していただいているので、それに応えられるように頑張っていきたいっていう気持ちです。他のレーサーよりも注目して見られてしまうんで、妥協はしないってことですね。
――他のジャンルのトップアスリートによる講習会もありますよね。
栗城 正直、自分のなかに自分が強くあるんで、トップアスリートの方が言うことが全部理解できるというか、確認作業になってますね。「そう思ってやってるんだ。だから僕も頑張ろう」と。また、その方たちも全部をさらけ出してるわけじゃないですよね。ならば、趣味とか、何をしてるのが楽しいとか、ようするにその人がどんな人なのかが気になりますね。正直、自分はどうすればいいんだろうとか、困ってることはないんで。
――栗城さんにはまったくブレない芯があるんだなあ。
栗城 あ、そうです。

後編へ続く(2022/8/30頃更新予定)
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ロングインタビュー
後編

もっと「経験」を積み重ねたい

――昨年は平和島でGⅠ初制覇を果たしました。地元周年は初めての参加でしたが、強い気持ちで臨みましたか?
栗城 獲るぞという気持ちは正直、いつもあるんですよ。だから、そのときもありました。特別なことではなかったです。
――これは獲れそうだと思ったのはどのあたりですか?
栗城 得点率トップが決まったときですね。予選道中でも、このエンジンだったら優勝してもおかしくないとは思ってました。
――緊張はしましたか?
栗城 優勝戦は人生でいちばん緊張しましたね。
――相手は強い先輩ばかりでしたけど、怯む気持ちは?
栗城 たしかにすごく強い先輩たちでしたけど、やっぱりボートレースは内側が有利なんで、自分ができることを完璧にこなせば絶対に勝てるじゃないですか。腕が決定的に足りないとか、自分に自信がなかったら負けるかもしれないけど、失敗さえしなければ勝てると思っていたので、怯むことはなかったですね。外のレーサーのエンジンがめちゃくちゃ良かったら別ですけど、そんな感じはなかったですしね。自分のエンジンは良かったし、コンマ05~06のスタートを行けたら勝てると信じてました。
――長年ボートレースを見てきて、SGでもGⅠでも、若手レーサーが初めて優勝戦1号艇に入ったときに緊張でスタートを失敗したりとかをよく見てきた。だから正直「大丈夫か?」と思ってしまうんですよ。
栗城 もちろん緊張はしますよ。だから板橋(侑我)もすごいと思います(昨年、浜名湖周年でGⅠ初優出初優勝。1号艇だった)。たぶん同じ心境だったんでしょうけど、ちゃんとスタートを決めたじゃないですか。だから板橋は強いと思います。
――栗城さんも(笑)。
栗城 僕も決めたんですけど(笑)。

――1マーク回って先頭に立ち、どんな心境で走ってましたか。
栗城 いやー、やっぱりコケたらダメじゃないですか。その緊張が来るんですよ、勝手に。だからいつもより乗るのが怖くなってました。絶対にコケちゃいけないって、めちゃめちゃ慎重に回ってましたね。ヨッシャー!とか思わず、集中して。
――いやね、それを言う方ってけっこういるんだけど、GⅠを走る方が先頭を走ってコケることってまずないじゃないですか。
栗城 でも、そういう思いになるんです。たぶんギリギリで走ってるんでしょうね。
――では、ゴールした時の思いは?
栗城 ホッとしました。やった、というより、やっと終わった、って感じでした。
――これでSGに行けるっていう嬉しさは?
栗城 ありましたけど、正直、今の実力で記念を獲っても、その年にグランプリに行けるとは正直思ってないんです。だからGⅠとかSGをもっと経験しないといけない。その意味で自信になる努力を、まだぜんぜんしてないと思ってます。プロペラや調整のほうは、師匠と学んでる人のほうが僕より上に行ってると思うんですよ(栗城は師匠についていない)。だから僕は、いろいろ書いてある教科書を持ってないというか、自分で教科書を作っていく感じなんですよね。だから時間がかかるんです。本当は、先輩にうまいこと聞いたり、もっと先輩を食事にでも誘ってプロペラのことについて聞いたりすれば、もっと上に行ける。でも、それを僕ははしてないんで、今後はするべきだと思います。
――なぜそれをしない?
栗城 まだ自分一人でも技術を上げられるところまで行ける、と思っちゃってるからだと思います。でも、自分だけの力じゃ先は知れてるというか、行けても時間がかかると思ってるんで、ここからですね。
――なるほど。平和島の優勝に戻りますが、表彰式で泣いてましたね(笑)。
栗城 自分にとってグランプリを獲るのが最終目標です。周年を獲って達成感を得ていたら、グランプリなんて行かなくたっていいじゃないですか。グランプリを獲らなくたって幸せですよ、GⅠ獲っただけでも。そう自分にも言い聞かせてるんですけど、あのときは嬉しさとホッとした感がこみ上げてきちゃって。言い聞かせてたからこそ、こみ上げてきたんですよね。
――正直、ピットで見ていると、感情の起伏を見せないタイプだと思うんです。それだけにあの涙は意外でした。
栗城 よく言われます(笑)。
――先輩がすごく応援してくれたと言ってましたね。
栗城 やっぱり何かを思い出したときに感情が動くじゃないですか。あのときは先輩が自分にかけてくれた優しさを思い出して、気持ちが出ちゃったんじゃないですかね。

――その優勝で、今年のボートレースクラシック出場を果たしました。SGを体験していかがでしたか(取材日はクラシック最終日の2日後)。
栗城 自分のなかで、なぜ負けたかというのはわかっています。それがあるので、一歩一歩修正していけば、大丈夫だろうなという感じです。
――SGはやっぱりレベルが高かったですか?
栗城 うーん、記念もレベルが高いと思いますよ。
――メンバーはそう変わりませんからね。
栗城 記念に出るようになって、強い人に会うようになってきたわけじゃないですか。やっぱり、強い人は「自分」が強いなあと思いました。
――「自分」が強い。
栗城 俺と似てるじゃん、って。
――ですよね。栗城さんはまさにそういうタイプでしょう。
栗城 そういう人が強くなるんだって思いました。瓜生(正義)さんは、「自分」も強いけど、周りにも目を配っている神様みたいな人ですけどね。そういう人もいますけど、だいたいみんな「自分」が強い。
――それを知って、自分も上に行けるって手応えを得たわけですね。
栗城 結局、自分を信じるか信じないか、じゃないですか。僕は自分を信じちゃってるんで、周りからは「あいつはダメだな」って思われたとしても、自分はダメだとはならないです。でもまあ、初めてのSGは、緊張はしました。初めてのことはたいがい緊張します。
――SGもその程度だった、と(笑)。
栗城 まあまあまあまあ(笑)。グランプリに出て、獲らなきゃいけないと思っちゃってるんで、そうなります(笑)。
――SG初出場くらいで怯んではいられない。
栗城 これもステップアップの一つということですね。

――ならば、今後はSGの権利をひとつでも多く獲りたいですね。課題はありますか。
栗城 調整力とか、レースに出る前の準備の段階ですね。プロペラゲージとかって、情報を仕入れて、レースに行く前から準備しないと遅いじゃないですか。レース場に行ってから「どうしよう」じゃ遅い。それをやってる人と比べたら、入る前から不利ですよね。だからそういう準備をもっとしていきたいと思います。やっぱりプロペラが合ってないとSGでは勝てません。ベテランの方は「大村はこんな感じ」とか「このタイプで微調整すれば」って掴んでる感じだと思うんですけど、僕にはまだそういうのがないんですよ。大村でも、バチバチって合っていたらもっといい成績が獲れてたと思うんですよね。
――だとすると、あとはやっぱり、経験、ですね。
栗城 そこは足りてないと思います。あとは先輩に話を聞きに行ったりというのをあまりしてないんで、そこも足りない。今回のクラシックで初めて話した先輩に「栗城は天性の才能を持ってないから、努力するしかない」って言ってもらったんです。僕は自信満々のほうだけど、強い先輩から見るとぜんぜんなんだなって。そう言ってもらうことってあまりないじゃないですか。僕は記念で終わるわけにはいかないから、次元の違う人からぜんぜんだよって言われて、ありがとうございましたって。絶対同じレベルに行ってやるって気持ちが再確認できました。
――それはいい経験ができましたね。
栗城 はい、もっと努力をしなくちゃいけないですね。






水神祭記録

初出走
2016年5月8日~ ボートレース多摩川 一般
初1着
2016年6月11日~ ボートレース平和島 一般
初優出
2018年4月12日~ ボートレース宮島 一般
初優勝
2020年4月24日~ ボートレース平和島 一般

Q & A

Qトップルーキーに選ばれていかがですか?
A嬉しいです。全力で頑張ります。
Q自分のレーススタイルを教えてください。
A全コースから1着を狙っています。
Q同世代でここは負けない!というところはありますか?
A諦めない気持ちです。
Qリラックス方法をおしえてください。
Aサウナ・深呼吸
Q2022年の目標を教えて下さい。
A6.6以上勝率を残す。SGをとること。
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