闘志あふれる走りでデビューから順調に成績を伸ばし、3年でA1級に到達した。さらに上を目指し、さらに気合が入った17年2月。西野はレースで落水し、大ケガを負ってしまう。それは選手生命を危ぶまれるほどのものだった。
しかし西野は不屈の魂で水面に戻ってきた。半年間の欠場で戦線に復帰し、3戦目でいきなり1着。ブランクを一気に埋めんとするかのような気迫で、復帰後1年でA1級にふたたび昇級した。西野といえば、この熱きレーサー魂！　逸材が揃っている114期生のなかでも、ソウルフルなレースぶりは際立っている。
スタートの早さもまた、気持ちが伝わる部分と言える。また、レーススタイルも攻撃型。差しも達者だが、ここぞの場面では気合の強攻を見せる。スタートもターンも自力で攻めるのがまさに真骨頂だ。そのファイティングスピリットを熱く燃やし、記念戦線に殴り込むべく奮闘する。

2014年5月1日、西野雄貴は尼崎でデビューした。初出走は6着だったが、2走目には2着をマーク。5日目にさっそく『抜き』で初勝利を飾っている。もちろん6コースからだ。『すごい新人が出た』と俄然注目を集めたのは言うまでもない。
その後、順調に成績を伸ばしていた矢先の2017年2月、多摩川で事故は発生した。優勝戦で落水し左腕を負傷、神経を切断する重傷を負ったのだ。極めて困難な状況に、復帰が危ぶまれたが、西野は懸命のリハビリに取り組んだという。「必ずレースに戻る」決意が奇跡を呼ぶことになる。なんと半年あまりで実戦に戻ったのだ。悲願がかなったのである。
復帰当初、ピットで会う人会う人に、「西野です。これからもよろしくお願いします！」と大きな声であいさつしていたが、その姿勢は今も変わっていない。いつも、誰に対しても清々しい。手本になる男である。
レースは、スタート一撃というより、混戦のさばきを苦にしないタイプの西野。今後、どうやって競争社会の混沌から抜け出してくるのか…。試練があっただけに、見ているだけで熱くなる。